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「その子らしさ」を愛おしく思えるようになるまで② 〜「やりたい」という気持ちを育てる〜


 

ASD(自閉スペクトラム症)の診断を受けた我が子。

かしの木学園から松原学園に進んでも、激しいこだわりや癇癪が続きました。

私は、そんな息子への対応が分からず、本当につらい日々が続きました。

 

秩父学園のOT(作業療法)にも通いました。

半年たっても、先生の指示に全く従わず、好き勝手に遊びまわる息子。

自分の意に沿わない時は、先生を激しくたたくこともありました。

 

ある日、先生から「半年たったので面談をしたい。お母さんだけ来てください。」と言われました。

そして、面談の時、先生は以下のように話し始めました。

 

前回、OTのあと、A君(息子)が中庭に出ていた。

自分も出ようとしたが、A君に玄関に押し戻された。

これが、出会って半年たったA君と自分の今の関係だと思う。

 

今後どうしたらいいかを、有名なOTの先生に相談した。

そして、A君が初めてここに来た時のビデオを見直した。

A君は、「ボールを投げる」「物を積む」などシンプルにとても楽しそうに遊んでいた。

 

「〇〇ができるのだから△△もできるのではないか?」

という大人側の勝手な思い込みがあった。これからは方針を変えていきたい。

 

具体的には、

 

遊びのフレームを「大人が提案する」のではなく、本人に決めてもらう。

ただ、本人のやりたい放題ではOTにならないので、それに「ほんのちょっと」だけ足す。

「できる事を確実にこなしてもらう」→ほめる→ちょっと足す。の繰り返し。

本人に達成感を持たせ、自尊心を作り上げる。

身辺自立・トイトレなどは後回し。(やっていけない訳ではないが、それに固執しない)

『今できる事』を増やす」というより「『やりたい』という気持ちを育てる」ことが大切。

 

と教えてくれました。

 

ふり返れば私自身、先々の不安から、子どもが「何かをできるようになること」を求めがちでした。

木でいうなら、「目に見える葉っぱの部分を増やす」ことで、少しでも安心したかったのだと思います。

でも大切なのは、「意欲となる根っこの部分を育むこと」だったのです。


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さらに、OTの時間に写真を使うようになりました。

今までは、「トランポリンに行くよ。」と言われても、違う場所で好き勝手に遊んでいた息子。

それが、写真があることで、ちゃんとその場所へ行くようになりました。

息子にとって、目で確認できる「視覚支援の大切さ」をこの時初めて知りました。

 

それから私は、息子が「どうしたらできるようになるか?」ではなく、「どうしたらやりたくなるか?」を考えるようになりました。

 

息子が紙パンツにこだわり、パンツを履くことができなかった時。

「どうしたらパンツを履きたくなるかな?」

と、考えました。

私は、大きめのブリーフを買ってきました。

それに、アイロンプリントを使って、トーマスのパンツを自作しました。

すると、紙パンツの上からそれを履くことができました。

(市販のものは小さくて、紙パンツの上から履くことができないので。)

しばらくそれを繰り返すと、直にパンツをはけるようになりました。

 

またある日は、粘土がさわれない息子の前に、

 

「4」 「コートン」 「゛」 「゛」


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と粘土をおいてみました。

 

すると、「゛」をそっと動かして、「ゴードン」にする息子。(大好きなトーマスのキャラクターです。)

「すごいね!粘土さわれたね!!」と、言うと、本人も嬉しそうでした。

 

本人の「やりたい」をどうやったら引き出せるか?

そんなふうに考えると、少し子育てが楽しくなってきました。

 

また、様々な人達との出会い。学びの中で、私の「自閉症」に対する考え方が変わってきました。

それはまた次回お伝えしたいと思います。

 

 

私がOTの先生に教えていただいた、

『「できる事」より「やりたくなる事」をめざす』ですが、

愛知県 医療療育総合センター 吉川徹先生が、以下の動画で同じことをおっしゃっています。

 

 

こちら、冒頭で本田先生がおっしゃっているように、

・重い・軽いという事に関係なく、予防という観点

・自閉症の人に対しての基本的な接し方

という点で、非常に勉強になる動画です。良かったらご覧ください。

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