「その子らしさ」を愛おしく思えるようになるまで② 〜「やりたい」という気持ちを育てる〜
- えがおのたね
- 7月1日
- 読了時間: 4分
ASD(自閉スペクトラム症)の診断を受けた我が子。
かしの木学園から松原学園に進んでも、激しいこだわりや癇癪が続きました。
私は、そんな息子への対応が分からず、本当につらい日々が続きました。
秩父学園のOT(作業療法)にも通いました。
半年たっても、先生の指示に全く従わず、好き勝手に遊びまわる息子。
自分の意に沿わない時は、先生を激しくたたくこともありました。
ある日、先生から「半年たったので面談をしたい。お母さんだけ来てください。」と言われました。
そして、面談の時、先生は以下のように話し始めました。
前回、OTのあと、A君(息子)が中庭に出ていた。
自分も出ようとしたが、A君に玄関に押し戻された。
これが、出会って半年たったA君と自分の今の関係だと思う。
今後どうしたらいいかを、有名なOTの先生に相談した。
そして、A君が初めてここに来た時のビデオを見直した。
A君は、「ボールを投げる」「物を積む」などシンプルにとても楽しそうに遊んでいた。
「〇〇ができるのだから△△もできるのではないか?」
という大人側の勝手な思い込みがあった。これからは方針を変えていきたい。
具体的には、
●遊びのフレームを「大人が提案する」のではなく、本人に決めてもらう。
●ただ、本人のやりたい放題ではOTにならないので、それに「ほんのちょっと」だけ足す。
●「できる事を確実にこなしてもらう」→ほめる→ちょっと足す。の繰り返し。
●本人に達成感を持たせ、自尊心を作り上げる。
●身辺自立・トイトレなどは後回し。(やっていけない訳ではないが、それに固執しない)
●「『今できる事』を増やす」というより「『やりたい』という気持ちを育てる」ことが大切。
と教えてくれました。
ふり返れば私自身、先々の不安から、子どもが「何かをできるようになること」を求めがちでした。
木でいうなら、「目に見える葉っぱの部分を増やす」ことで、少しでも安心したかったのだと思います。
でも大切なのは、「意欲となる根っこの部分を育むこと」だったのです。

さらに、OTの時間に写真を使うようになりました。
今までは、「トランポリンに行くよ。」と言われても、違う場所で好き勝手に遊んでいた息子。
それが、写真があることで、ちゃんとその場所へ行くようになりました。
息子にとって、目で確認できる「視覚支援の大切さ」をこの時初めて知りました。
それから私は、息子が「どうしたらできるようになるか?」ではなく、「どうしたらやりたくなるか?」を考えるようになりました。
息子が紙パンツにこだわり、パンツを履くことができなかった時。
「どうしたらパンツを履きたくなるかな?」
と、考えました。
私は、大きめのブリーフを買ってきました。
それに、アイロンプリントを使って、トーマスのパンツを自作しました。
すると、紙パンツの上からそれを履くことができました。
(市販のものは小さくて、紙パンツの上から履くことができないので。)
しばらくそれを繰り返すと、直にパンツをはけるようになりました。
またある日は、粘土がさわれない息子の前に、
「4」 「コートン」 「゛」 「゛」

と粘土をおいてみました。
すると、「゛」をそっと動かして、「ゴードン」にする息子。(大好きなトーマスのキャラクターです。)
「すごいね!粘土さわれたね!!」と、言うと、本人も嬉しそうでした。
本人の「やりたい」をどうやったら引き出せるか?
そんなふうに考えると、少し子育てが楽しくなってきました。
また、様々な人達との出会い。学びの中で、私の「自閉症」に対する考え方が変わってきました。
それはまた次回お伝えしたいと思います。
私がOTの先生に教えていただいた、
『「できる事」より「やりたくなる事」をめざす』ですが、
愛知県 医療療育総合センター 吉川徹先生が、以下の動画で同じことをおっしゃっています。
こちら、冒頭で本田先生がおっしゃっているように、
・重い・軽いという事に関係なく、予防という観点
・自閉症の人に対しての基本的な接し方
という点で、非常に勉強になる動画です。良かったらご覧ください。
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