「その子らしさ」を愛おしく思えるようになるまで⑩ 〜「経験を積むことでの成長」〜
- えがおのたね
- 11月15日
- 読了時間: 3分
息子は就学前、2歳児クラスから「かしの木学園」。
3歳児クラスからは「松原学園」。
と、2つの児童発達支援センターに通いました。
そして、小学校・中学校と地域の支援級(知的クラス)に通い、今中学3年になりました。
10年以上たっても忘れられないできごとがあります。
かしの木学園の卒園式での出来事です。
私は、絵をたくさん使ったオリジナルのプログラムを作りました。
そして、一週間以上前からそれを見せて式の流れを説明しました。
さらに当日は、息子とそれを見ながら、
「『はじめのことば』だったね。」
「『園長先生のお話』終わったね。」
と、終わったものに一つ一つ線を引いて見せながら式に参加していました。
初めて経験する卒園式。
息子は緊張しつつも、そのプログラムを見ながら一生懸命頑張っている様子でした。
式が終わって記念撮影が始まりました。
(記念撮影はプログラムに書いてありませんでした。)
みんながカメラマンの前に列を作っていきます。
私たち家族も列の中に入りましたが、今までの緊張がピークに達したのでしょう。
撮影の瞬間に大パニックになった息子は、みんなの前へ飛び出しました。
そのパニックは収まる気配がなく、私たちは記念撮影に参加するのをあきらめました。
そして先生やお友達とのお別れの挨拶もそこそこに、泣き叫ぶ息子をなんとか夫の車に乗せて帰りました。

「(式に参加するだけで)精一杯だったんだろうな…。」
運転をしながらポツリとつぶやいた夫の言葉。
昨日のことのように覚えています。
松原学園の運動会でも、毎年のように最後の集合写真では泣いていました。
そんな息子ですが、先日の中学校の合唱コンクールでは、胸を張って仲間たちと演奏や合唱を頑張っていました。
一生懸命なその姿を見ていたら、思わず涙があふれました。
同じ苦労を分かち合った、ママ友も隣で泣いていました。

育てづらく、どう対応したらよいかわからなかった毎日。
そして、障害があると分かったあの日。
その後も「どんなふうに育っていくのか」が全く見えなかった幼少期。
「あの頃の自分たちに、
『大丈夫だよ。心配しなくても自分達のペースで立派に育っているよ。』って伝えてあげたいね。」
ママ友とそんな話をしながら帰ってきました。
今回の出来事を通じて、昔あるお母さんから聞いたこんな言葉を思い出しました。
「凸凹のせいもあるけれど、その子自身が幼くてまだ経験が浅いんだよね。
どうして良いかが分からないんだよ。」
今になって「本当にそうだなぁ…。」と思います。
息子が小さい頃、あまりにもこだわりやパニックがひどいので、
「障がいのある子は、なんて育て辛いのだろう。」
と、ずっと思っていました。
でも周囲の子育てや中3になって落ち着いた我が子を見て、
障がいがあってもなくても「人を育てる」のは大変な事
たとえ障害があっても経験を積んでいくことで、その子なりに成長していける
と思えるようになりました。
卒園式でパニックになったあの日も。
運動会で泣いたあの時も。
親として見守ることが辛かったけれど…。
だけど、それらの日々も含めた色んな経験こそが今の彼を支える土台になっている。
そんなふうにしみじみ感じています。

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