「その子らしさ」を愛おしく思えるようになるまで⑦ 〜「縦軸と横軸」〜
- えがおのたね
- 9 時間前
- 読了時間: 3分
人には興味がないけれど、エレベーターや数字が大好き。
気に入ったことは何度も繰り返し、こだわりが多くマイペース…。
幼少期の息子の様子です。
不可解な行動が多く、育てづらい我が子。
でも、自閉症や知的障害の学びが深まると、少しずつ息子の行動を理解できるようになりました。
そして小4の時、療育の先生に、
「『横軸』(他の子との比較)じゃなくて、『縦軸』(昔のその子との比較)でお子さんを見てくださいね。」
と言われました。
この「縦軸と横軸」にまつわる、こんなエピソードがあります。
息子が小2の時に、誕生日に自転車をプレゼントすることにしました。
「本人が望んだ。」というよりは、「自転車に乗れたらいいな。」という親の思いが強かったように思います。
補助輪付きの自転車を探しますが、小2でも体が大き目な彼に合うものはどこにもありません。
仕方がないので、22インチの自転車を買って、Amazonで探した補助輪をつけました。
誕生日当日。
少し大きめのその自転車に、おそるおそるまたがった彼は、
「もういいや。」
と言うと、それから二度と乗ろうとしませんでした。
誰にも乗られることのないその自転車を見るのが切なくて、やがて家の中に片付けてしまいました。
それから二年の月日が流れ、息子も小4になりました。
その時、コロナ禍で学校が休校になりました。
「時間もあるし、今のうちに自転車の練習をすれば?」と言う夫。
その言葉を受けて、久しぶりに自転車を外に出しました。
息子はさらに体も大きくなり、今回は嫌がらずに乗りました。
しばらくして私は夫に、
「パパが休みの日に自転車を車に積んで公園に行こうよ。」
と言いました。すると夫は、
「毎日練習した方がいいでしょ。家の一本先の道路なら車も来ないし練習にいいんじゃない?」
と言いました。私が、
「でも登校班の子に合ったら恥ずかしいし…。」
と言葉を返すと、
「そんな事言っていたら何もできないよ。」
と言う夫。
私は、「そうだなぁ…。」と思い直し、早速その道で練習を始めました。
少し下り坂のその道を補助輪の音をガラガラさせながら、実に楽しそうに乗り始める息子。
登校班の子にあっても、全く平気です。
なんなら、風を受けて走りながら、ちょっと得意げなくらいです。

私は改めて、
「『横軸』じゃなくて、『縦軸』でお子さんを見てくださいね。」
という、先生の言葉を思い出しました。
私は、最初、
「小4にもなって補助輪付きの自転車に乗って恥ずかしい…。」
と、他の子との比較(横軸)で考えていました。
でも、
「以前は、またぐだけで降りてしまった自転車の練習を頑張っている。」
と、昔の息子との比較(縦軸)で考えることが大切だったのですね。
子育ては、とかく「他の子との比較」に陥りがちです。
まして、我が子に障害があれば、その子の苦手な部分やできないことの方に目がいきます。
けれど、その子の「昔」の姿の姿と比べれば、そこには少しずつ成長している部分があるはずです。
そして何より、ずっとそばにいる親こそが、その子の「縦軸」に一番気づけるのだと思います。
私が、「その子らしさ」を愛おしく思えるようになったのは、
🍀 その子への理解が深まったこと
🍀 横軸でなく縦軸で考えるようになったこと
この2つが大きいと感じています。
でも、そうは言っても親心は揺れる…。
そんなお話を次回お伝えしたいと思います。
コメント