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「その子らしさ」を愛おしく思えるようになるまで⑦ 〜「縦軸と横軸」〜

人には興味がないけれど、エレベーターや数字が大好き。

気に入ったことは何度も繰り返し、こだわりが多くマイペース…。

幼少期の息子の様子です。


不可解な行動が多く、育てづらい我が子。

でも、自閉症や知的障害の学びが深まると、少しずつ息子の行動を理解できるようになりました。


そして小4の時、療育の先生に、

「『横軸』(他の子との比較)じゃなくて、『縦軸』(昔のその子との比較)でお子さんを見てくださいね。」

と言われました。


この「縦軸と横軸」にまつわる、こんなエピソードがあります。


息子が小2の時に、誕生日に自転車をプレゼントすることにしました。

「本人が望んだ。」というよりは、「自転車に乗れたらいいな。」という親の思いが強かったように思います。


補助輪付きの自転車を探しますが、小2でも体が大き目な彼に合うものはどこにもありません。

仕方がないので、22インチの自転車を買って、Amazonで探した補助輪をつけました。


誕生日当日。

少し大きめのその自転車に、おそるおそるまたがった彼は、

「もういいや。」

と言うと、それから二度と乗ろうとしませんでした。

誰にも乗られることのないその自転車を見るのが切なくて、やがて家の中に片付けてしまいました。


それから二年の月日が流れ、息子も小4になりました。

その時、コロナ禍で学校が休校になりました。


「時間もあるし、今のうちに自転車の練習をすれば?」と言う夫。

その言葉を受けて、久しぶりに自転車を外に出しました。

息子はさらに体も大きくなり、今回は嫌がらずに乗りました。


しばらくして私は夫に、

「パパが休みの日に自転車を車に積んで公園に行こうよ。」

と言いました。すると夫は、

「毎日練習した方がいいでしょ。家の一本先の道路なら車も来ないし練習にいいんじゃない?」

と言いました。私が、

「でも登校班の子に合ったら恥ずかしいし…。」

と言葉を返すと、

「そんな事言っていたら何もできないよ。」

と言う夫。

私は、「そうだなぁ…。」と思い直し、早速その道で練習を始めました。


少し下り坂のその道を補助輪の音をガラガラさせながら、実に楽しそうに乗り始める息子。

登校班の子にあっても、全く平気です。

なんなら、風を受けて走りながら、ちょっと得意げなくらいです。


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私は改めて、

「『横軸』じゃなくて、『縦軸』でお子さんを見てくださいね。」

という、先生の言葉を思い出しました。


私は、最初、

「小4にもなって補助輪付きの自転車に乗って恥ずかしい…。」

と、他の子との比較(横軸)で考えていました。


でも、

「以前は、またぐだけで降りてしまった自転車の練習を頑張っている。」

と、昔の息子との比較(縦軸)で考えることが大切だったのですね。


子育ては、とかく「他の子との比較」に陥りがちです。

まして、我が子に障害があれば、その子の苦手な部分やできないことの方に目がいきます。


けれど、その子の「昔」の姿の姿と比べれば、そこには少しずつ成長している部分があるはずです。

そして何より、ずっとそばにいる親こそが、その子の「縦軸」に一番気づけるのだと思います。


私が、「その子らしさ」を愛おしく思えるようになったのは、


🍀 その子への理解が深まったこと

🍀 横軸でなく縦軸で考えるようになったこと


この2つが大きいと感じています。


でも、そうは言っても親心は揺れる…。


そんなお話を次回お伝えしたいと思います。

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