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「その子らしさ」を愛おしく思えるようになるまで④ 〜こだわりへの対応〜

今回は、「息子の様々なこだわりにどう対応してきたか」をお伝えできたら。と思います。

 

息子が松原学園に通っていた頃、黄色いトーマスの服(長袖)しか着られなくなりました。

暑くなってもこの服しか着ない。

さらに、寝る時もこの服しか着ないので、眠った息子の服をそっとぬがして他の服を着せる。

そして急いでトーマスの服を洗い、アイロンで乾かして翌朝に備える。そんな日もありました。

(汗だくになっても着替えられず、この時期息子は2か月で5回も発熱しました。)


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ある日、オークションで同じ服が出ているのに気付き、即落札しました。

でも、クローゼットには未使用のままの洋服が何枚も…。

「毎日同じ服着ているね~。」

と人からもよく言われました。

「違う服も着て欲しい。」

そんな思いから、あいかわらずトーマスは1枚しかないふりをして他の服をすすめたりもしました。

 

でもある日、最初からトーマスの服を見せて、

「着替えよ~!!」

と言いました。

息子はとっても嬉しそうに走ってくると、

「これが好きなの~♥」

とキラキラした笑顔を見せながら、トーマスの服からトーマスの服へ着替えました。

この時、

「私の見栄など押しつけず、もっと前からこうしてあげれば良かった。」

としみじみ思いました。

その後、身体が大きくなっていくにつれて、自然に他の服も着られるようになりました。

 

人に迷惑をかけず、本人に害がないことであれば、こちら側が「こだわりにこだわらない。」ということも大切だと感じました。

 

一方で、この頃の息子は、新しい靴の履き替えができなくなりました。

お気に入りの水色のトーマスの靴は18cmまでしかサイズがありません。

本人が気に入りそうな新幹線の靴を、「のぞみ→はやぶさ→ドクターイエロー」と買いましたが、嫌がって手にも取りません。

オークションで探し、19cmの青いトーマスの靴が台湾にあるのを見つけ2足購入しました。

でもそちらも嫌がって履きません。

 

公園の駐車場の車内で、「履けたら遊ぼうね。」と言って新しい靴を見せる。

マクドナルドの駐車場で「履けたらポテト食べようね。」と声をかける。

色々試しますが、頑なに拒否します。

 

園にも青いトーマスの靴を持たせたのですが、やはり泣いて嫌がり、結局古い水色の靴を履く。という日々が続きました。

そうこうしているうちにボロボロになった水色の靴は、片方のつま先に穴が開いてしまいました。

靴屋さんに持っていくと、

「合わない靴を履くのは体に良くないですよ。」

と言いつつ、事情をくんで直してくれました。

 

今まで、テレビやバギーなど、こだわっているものは本人の前から隠してしまうことで対応してきました。

今回は、「唯一履ける靴」という事でなかなか決心がつかなかったのですが、

・古い靴は穴があいて危ない事

・小さい靴は体に良くない事

を絵で説明した上で、

「古い靴はサヨナラします。明日から新しい靴を履きます。」

と伝え、目の前でゴミ箱に捨てました。

その時は「はい。」と言っていた息子ですが、翌朝には「ポイッ!!」と言ってまた新しい靴を投げていました。

 

その日は土曜日で、ちょうど保護者参観の日でした。

主人の車に靴下で乗り、学園の園庭でも結局靴下で過ごしました。

 

翌日、日中一時のお迎えの車が来てもやはり新しい靴は履けません。

靴下で車に乗り、汚れ破れたボロボロの靴下で帰ってきました。

聞いてみると、

「お散歩前に新しい靴に足を半分入れてみる姿もあったけど、やっぱり履けなかった。

そして、危なくない芝生の上で遊んだ。」

との事でした。

 

どうしたらいいのか困り果てて、通っていた教育相談室の心理の先生に電話しました。先生は、

「はじめは親が履かせて、少しでも履けたら褒める。というのがいいのでは?」

とアドバイスしてくれました。

 

翌日はちょうどパパが休み。

靴下の息子を乗せ、松原学園の駐車場に車を停めました。

そして車の中で、二人がかりで靴を履かせようと試みました。

でも激しく泣きだして暴れる息子。

こちらの気持ちが折れてしまい、やはり履かせることはできませんでした。

 

泣き続ける息子に、

「松原行こうか?」

と言うと笑顔になり、駐車場から靴下で園に向かって走って行きました。

 

先生には、

「二人がかりで靴を履かせようとしたのですが、激しく嫌がって履かせることはできませんでした…。」

と伝え園を後にしました。

そして帰りに、スリッポンタイプの靴を買いに行きました。(19cmの靴6足目!)

 

家に戻っても、車の中で号泣していた息子を思い出しては、

「無理に履かせようとした事がはたして良かったのだろうか?」

と胸の潰れるような思いでした。

 

帰りのお迎えの時間になりました。

スクールバスのドアが開くと、そこには、(園に預けてあった)新しい靴を履いてバスから降りてくる息子の姿がありました。

私はすぐに連絡帳を開きました。

以下、先生が連絡帳に書いてくださった内容です。

 

「今朝のお母さんのお話を受け、改めてA君(息子)に園庭に出る時に靴をすすめました。

A君は、自分で下駄箱から靴を出したものの、履く事は拒否していました。

『靴はくよ。』と話しかけても気持ちが変わらないようなので、思い切って(先生)二人で履かせました。

最初は大泣きだったのですが、たくさん褒めたり、『大丈夫。』と繰り返し話しながら抱っこしたりグルグルしたりすると気持ちが落ち着いてきました。

いつもやっていた、『ボールどこだ?』のやり取りを始めると、靴のことを思い出して泣くことも脱ごうとすることも減り、新しい靴を受け入れられた様子でした。

ブランコや山登りもいい顔で楽しめ、園に戻る時は自分で脱いで下駄箱に片づけもできました。

写真撮りましたのでプレゼントしますね。

これでOKかはまだわかりませんが、一歩前進したのはお父さんお母さんが朝頑張って下さったからだと思います。また頑張りましょう!!』

と書いてありました。

そしてそこには、園庭で靴を履いている、笑顔の息子の写真がありました。

 

私はその写真を見て、ボロボロと涙があふれました。

そして、すぐそこが家なのに、

「〇〇ちゃん、靴履けたよ!!」

と、思わずパパに電話してしまいました。

 

家に帰ってからも嬉しくて、私はたくさんたくさん息子を褒めました。

関係のない事をペラペラと喋っていた息子でしたが、ふとした時に、

「新しい靴履けたね!」

と言って、嬉しそうにつぶやいていました。

そんな息子を見ながら、

「どこかで『履きたい。』って気持ちがあったのかな…。」

とパパがつぶやきました。

 

翌日の連絡帳には、先生から、

「新しい靴が履けて本当に良かったです。」

という言葉と共に、

「『どうしても本人だけでは進めない時の後押し』という役目も大人にはあるのかな。と感じました。」

と、書かれていました。

 

次回は、一番大変だった排泄についてのこだわりについてお伝えしたいと思います。

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