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余白の時間が生み出したもの① 〜A君とのお散歩での気づき〜

更新日:7月6日

「『余白』の時間があったからこそ、よりその子が理解できて…。」

と話し始めた、きなこスタッフのBさん。

そして、先日あった出来事を教えてくれました。

 

きなこではよく公園へお散歩に行きます。

この日は近所のD公園に歩いて行くことにしました。

D公園へ行く準備をするスタッフや子どもたち。

でもA君だけは、「C公園がいい!!」と言い始めました。

 


C公園は川沿いの自然があふれる公園で、A君の大好きな場所の一つです。

ただ、車でないと行けません。

この日はその後の予定もあり、車でお出かけは難しい日でした。

それを伝えても、A君は「C公園〜!!」と言って、大声で泣きだしました。

 

スタッフや他の子がD公園へ出発すると、ますます激しく泣きだすA君。

Bさんは、ノートに

「Cこうえんはいけません。またこんどいきます。」

「Dこうえんはいけます。」

と、書いて見せました。

でもどうしても納得いかないA君。

ドアを蹴ったり自分のあごを手でたたいたりしながら、激しく泣き叫びました。

でもBさんは、A君が、

「靴を履いている時にだけドアを蹴った。」

「それほど強くはあごを叩いていない。」

ということに気づきました。

それで声かけをやめ、A君の安全だけを見守ることにしました。

 

「発達に特性のあるお子さんは、自分の希望が叶えられない時にパニックになることがあります。

その激しさに、ついこちらも折れてしまいそうになります。

でもそれは、その子にとって、『泣いたら要求が通った』という誤学習につながりかねません。

状況にもよりますが、その子が落ち着くのを信じて待つことも大切だと思います。」と、Bさん。

 

A君は、10分くらい玄関で泣き続けた後、

「D公園〜!!」

と言いました。

「D公園なら行けるよ!」

と、Bさんがドアを開けると、駐車しているきなこの車へと駆け出すA君。

どちらの公園も同じ文字で始まるので、言い間違えたようです。

 

Bさんは、

「今日は車に乗らないよ。C公園は行けないよ。」

と、伝えました。

ますます泣き叫ぶA君。

「歩いてD公園になら行けるよ。行く?」

と、伝えるとうなずくA君。

 

Bさんは門を開けましたが、A君は違う方向へ進みだしました。

「そっちじゃないよ。」

と、Bさんが止めると、激しく泣きながら道路の真ん中に出ようとするA君。

BさんはA君を、なんとか安全な場所へ移動させました。

でも、A君の号泣は続いています。

 

「A君ときなこに戻るか、このまま外にいるべきか…。」

Bさんは悩みましたが、5分ほどすると、だんだんA君が落ち着いてきました。

そのタイミングでBさんは、

「D公園行こうか?」

と、言いました。

A君はうなずくと、D公園に向かって歩き出しました。

 

次回は、D公園でのA君の様子。

そして、BさんがA君とのお散歩で気づいたことについてお伝えします。

 

(sakuko)

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